夏野菜
高尾山の麓の畑で育てている夏野菜、
今年はきゅうりやトマトがたっぷり採れて
長梅雨などでナスはいまいちだったのが
ここにきてたくさん採れはじめました。
ぼくは美味しい!という喜びが大好物で
何でも自分でつくることを面白がるたちなので
料理もかなりやりこんできて
ケータリング?というか
パーティなどの集まりの時の料理を頼まれて
つくったりもしていました。
「フォルクローレ」という中南米の音楽の
愛好家たちの交流会&セッションでは
50人分ほどのペルー料理を出したり
ミラノサローネなどにも出展するような
家具デザインユニットのお洒落な展示会の
オープニングパーティの料理を頼まれたり。
でも、本当はつくりたてをどうぞ!
って出す方が美味しいとやっぱり気づき、
依頼されてどこかで出すような料理は
断るようになって
そして、結局、美味しい!の根源は何かといえば
「素材」そのものの質なんだということに至り
(素材がよければそのままで美味しい。
逆に安さ最優先で質の悪い素材を使うから
ファーストフードや安さが売りのレストランは
過剰に味付けしないと食べられない)
以来、「種」から野菜を育てて料理をつくって、
自分や家族や友人たちと楽しんでいます。
「SEED TO TABLE」の精神で。
野菜を育てることは農家をお手伝いした
3年間と合わせると19年間取り組んでいて
美味しさへの追及から
同じ野菜でも、いろいろな品種を試して
(ひとり暮らしなのにトマト40株育てたり)
好みの野菜を見つけて育てています。
例えば同じナスでも、品種によって形だけじゃなく
味もやわらかさも違って、
例えば真黒ナス(しんくろなす)という品種は
やわらかくてとっても美味しいんだけれど
皮が薄いから流通に乗せられなくて
自家用で育てている人だけが食べられる
ナスだったり。
でもそういうふうに品種を選ぼうとすると
ホームセンターで買う苗は種類が限られていて
かといって、農家が持っているビニールハウス
のような育苗設備はなく
トマトやナスやピーマンなどの夏野菜は
日本では3月に種をまいて育てますが
発芽(実際は最初は発根)するのに
28度の温度が必要で
それをビニールハウスや燃料の重油
なんかが無くてもなんとかする技術が
昔はそんなものなかったわけだから
実はいろいろとあって
そのひとつに、
「種を抱いて体温で発芽させる」
という方法があります。
体温は36度前後で一定に保たれているので
人肌こにあてておくと、だいたい28度くらいを
保てて、種の発芽スイッチが入るんです。
ぼくはこの方法で苗を育てています。
3月、種を抱いている時期は
お店で買い物をしている時も
電車に乗っている時も
広告の仕事の打ち合わせを都心の
お洒落なオフィスでしている時も
太極拳の都大会に出場して演武している時も
実はこっそりお腹に種を抱いています。
鳥が巣で卵を抱いて温めるように。
お母さんがお腹に宿した命を大切に守るように。
それで発芽させ育てた野菜たちがこの野菜たち。
写真は実は今年のではなくて(作業していると
写真なんか撮れないことがほとんど)
何年か前にテレビで取材された時のもの。
写っていないけれどカゴの底には
ナスがゴロゴロあります。
料理の写真は新宿のオゾンでの
オープニングパーティで出したものです。